デザイン&AI ワークフロー

【検証】AIを使うべき時、デザイナーを雇うべき時

Entifyデザインチーム著

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所要時間 5分

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5/1/2026

私たちはFigmaのモックアップを作成せずに、まったく同じテキストプロンプトを2つのAIツール(Claude Chatと新リリースのClaude Design)に与えました。モックアップが作れなかったからではなく、多くのスタートアップ創業者がデザイナーが社内にいない状態でスタートするからです。

プロダクトの開発において「このコンセプトは機能するかの検証」から「“これだ”と感じられるかの検証」へと移行した時に、デザイナーの存在が価値を持つ。

すべての創業者におすすめしたいワークフロー

プロダクト開発の初期段階から携わってきた経験に基づき、実践的なロードマップを作成しました。実践に基づいた、最新のツール環境に最適化された方法です。

プロダクト開発ロードマップ
フェーズ 01
コンセプトの検証
Claude Chat

明確なブリーフ(指示書)を作成します。ターゲットユーザー、その課題(ペインポイント)、プロダクトが何を行うかを記述します。それによってプロトタイプを作成し、そのアイデアが実際に機能するかテストします。ユーザーからの良い反応や自身の直感など、可能性が見つかるまでイテレーションを繰り返します。

人間のデザイナー:まだ不要
フェーズ 02
体験のブラッシュアップ
Claude Design + Human Designer

より深いUXの試行、ビジュアルの方向性、モーションの調整のためにClaude Designへ移行します。ここで人間のデザイナーが登場し、AI単体では判断が難しい決定を下します。「プロダクトがどのような特定の感情を生み出すべきか」「何百もの微細な決定をいかに一貫してその方向へ結びつけるか」を整理します。

デザイナー:ここで不可欠
フェーズ 03
実装
Figma MCP + Claude Code

デザイン決定が固まったら開発へ移行します。Figma MCPが仕様を正確に読み取り、Claude Codeが実装を行います。人間のエンジニアが重要なフローをレビューしてリリースします。フェーズ02でなされたデザイン上の決断がそのまま反映されるため、再解釈の必要はありません。

人間のデザイナー:ハンドオフとレビュー

実際にデザイナーが必要になるのはいつか?

状況 フェーズ AI ツール デザイナー
状況フェーズAIツールデザイナーアイデアの探求段階(まだ方向性が決まっていない) 01 Claude Chat
UXコンセプトが機能するかどうか検証する 01 Claude Chat
インタラクションやモーションを繰り返してブラッシュアップする 02 Claude Design 必須ではないが有益
穏やか、遊び心がある、信頼できる、プレミアムなど、すべての画面で特定の「感情」を一貫して生み出す必要がある 02 不可欠
ビジュアルヒエラルキー(視覚的階層)やブランドの一貫性が重要 02 不可欠
コンバージョン率や定着率(リテンション)の課題を解決する 02 不可欠
開発準備完了(デザイン決定が確定済み) 03 Figma MCP + Claude Code ハンドオフ(引き継ぎ)のレビュー

AIは迅速なプロトタイピングと正確な開発・構築で最大の威力を発揮します。一方で、プロダクト固有の「手触り」やビジュアルアイデンティティを定義する中間フェーズこそ、人間のデザイン判断が最も重要になります。AIの代わりとしてではなく、AIと共に働くのです。

検証による結果

AIは明確なプロダクトブリーフさえあれば、ターゲットユーザーとユーザージャーニーを正確に理解し、ペインポイントを特定し、数分でプロトタイプを構築できます。これはAI以前には不可能なことでした。

AIにできないのは、「デザインの意図」を包括的に適用するということです。プロダクトの使用感を形作る無数の微細な決定の背後にある理由の積み重ねを捉えることはできません。これはAIの欠陥ではなく、まさにそれこそが人間のデザイナーが得意とする領域なのです。

実際の実験:AIツールを使ったアプリ開発

どちらのツールも、驚くほどのUX理解力を持ってブリーフ(指示書)を読み解きました。

ターゲット層の正確な理解

ユーザーがミュージシャンではないことを両ツールとも正しく認識していました。MIDIコントロール、テンポ入力、トラック名設定などを追加せず、専門家以外が必要とする要素だけにインターフェースを極限まで削ぎ落としました。これは伝統的なDAW(音楽制作ソフト)が直面してきた課題を見事に解決しています。

ペインポイントの的確な処理

既存の音楽ソフトの複雑さという参入障壁に直感的に対応しました。どちらの出力も、GarageBandやAbletonを開いたことがない人でも親しみやすさを感じる、クリーンで親しみやすいインターフェースを提示しました。

思慮深いモード遷移の実装

スムーズで違和感のない切り替えが求められた「Auto/Manual」トグルを、両ツールともうまく処理しました。モード間のフェード遷移はクリーンで、指定したミニマルなビジュアルスタイルに一致していました。テキストプロンプトのみでこれを行うのは高度なインタラクションデザインです。

物理シミュレーションの表現

ヘキサゴン内で跳ねるボールに対するClaude Designの重力シミュレーションは実に見事に実行されていました。機械的ではなくオーガニックで、指示書で求めた「生き生きとした」品質にマッチしていました。言葉で記述された物理現象が動作するプロトタイプになる様子は、軽視できない本物の能力です。

無駄な機能追加(フィーチャークリープ)の不在

どちらのツールも指示されていない機能を追加しませんでした。オンボーディングのツールチップも、ヘルプメニューも、不要な複雑さもありません。「究極のシンプルさ」を掲げた指示書に対し、特段の制約指示を重ねることなくこの自制心を発揮したのは正しい判断でした。

Claude Chat
Claude Design

これは創業者にとって重要です。明確なターゲットユーザーと具体的なペインポイントを記したブリーフを書けば、AIツールは驚くべき精度でそのUX意図に基づいて動作します。「一貫したUXロジックを持つプロトタイプを得るためだけにデザイナーが必要だった時代」は真に終わりを告げました

2つのツールの違い・分岐点

Claude ChatとClaude Designにはそれぞれ異なる強みがあり、その違いを理解することで、プロダクトの開発の時間とコストを大幅に節約できます。

Claude Chat
初期段階のプロトタイプが得意。アイデアの検証向け。

Claude Chatはブリーフのみから機能的なインタラクティブ・プロトタイプを生成しました。物理演算、トグル、音源選択のすべてが機能しました。「このプロダクトコンセプトは成立するか?」という問いに答えるツールとして極めて優秀です。ビジュアルコンポーネントの配置の精度はやや低く、ミニマリズムが一般的なスタイルに傾く傾向もありましたが、初期検証ツールとしては問題になりません。

Best for: デザイン前の検証。「プロダクトのアイデアは成立するか?」「ユーザーは理解できるか?」
Claude Design
デザインブリーフをよく理解し、UXやモーションの試行に向いている。

Claude Designは視覚的精度とインタラクションの質においてさらに一歩踏み込んでいました。コンポーネントの配置はブリーフの意図により一致しており、トランジションもより考慮されていました。しかしビジュアルのガイドがない場合、ドロップダウンの下に頼まれていない線を引いたり、ロゴの文字間隔を調整したりと、安全で一般的なデザインチョイスに偏る傾向がありました。一つひとつは合理的でも、全体としてプロダクトブリーフが求めていた「特定の感情・手触り」から外れてしまうことがありました。

Best for: コンセプト検証後のUX、インタラクションデザイン、モーションのブラッシュアップ。

AIツールにおける、プロダクトブリーフと実行のギャップ

Figmaのモックアップ はこの実験におけるベンチマークです。これは、AIで制作されたものではなく、人間が1から作った「デザイン意図のベンチマーク」です。ダイアルに数値リングがないのは、ユーザーがリアルタイムで変化を聞き取れるため(音がフィードバックであるため)です。ドロップダウンに枠線がないのは、線の視覚的重みが六角形チャンネルの空間リズムを壊してしまうからです。これらは偶然の産物ではなく、他のすべての要素を考慮しながら順序立ててなされた選択です。

AIはそうした決断の背景にある「理由」を知りません。指示を見て、何が一般的かを判断して実行します。それは多くの場合「正解」ですが、クオリティが価値の核となるプロダクトにおいては「多くの場合正しい」だけでは不十分です。

Claude が生成したデザイン
人間がデザインしたデザイン
「クリーン vs 機能的」と「温かみがある vs 生き生きとしている」の間にあるそのギャップこそ、人間のデザイナーが大切にする領域です。

これは技術的なギャップではなく、「意図(デザインの意志)」のギャップです。

そしてその意図が、プロダクトにおける他のすべての決定を形作るのです。

実践における「プロダクトの手触り・感情」の真の意味

あらゆるプロダクトは、デザイナーの意図の有無にかかわらず、何らかの感情を生み出します。Notionは「整っていてわかりやすい」、Duolingoは「遊び心があり励まされる」、銀行アプリは「安全で信頼できる」と感じられるべきです。Lullは「スノードームを手にとったような感覚」を目指してデザインされました。一目で美しく、すぐ使い始められ、画面から常に新しい音が生まれてくる感覚です。

こうした判断は、1つの大きな決定から生まれるのではなく、一貫してなされる何百もの小さな選択の積み重ねから生まれます。エレメント間の余白、表示/非表示にする情報の選択、ボタンを押したときの応答、画面間の遷移の瞬間などです。AIは個々のタスクをうまく実行できますが、これらの小さな決定すべてを(特にそれが繊細な表現である場合)1つの調和のとれたデザインに昇華させることには苦戦します。そして、それこそが、人間のデザイナーが担う仕事なのです。

ご自身のプロダクトが「スノードーム」のような手触りを持ったとき、それは直感的にわかります。問題は、それをどのように作るかを知っている人物がチームにいるかどうかです。 entifydesign.com/our-works.

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