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ケーススタディ · フリーランス向け融資プラットフォーム
フリーランスの個別収入に合わせた融資の形

Rove(ローブ)は、フリーランス向けの融資プラットフォームです。複数の仕事で収入を得ているフリーランスのために、利用しているすべてのプラットフォームから統合された収入データを読み取ります。それは、人間のアンダーライター(融資審査担当者)と同様の方法で作成され、単なるスコアへと簡略化されることなく、借り手本人、案件を審査するアンダーライター、そして本サービスを提供する金融機関(レンダー)へと共有されます。

現状の課題

フリーランスの収入には給与明細が存在せず、既存の融資制度はそのような働き方を前提に設計されていません。現在、推定7,000万〜7,600万人のアメリカ人(全労働力の1/3以上)が配車サービス、配達、請求書ベースのフリーランスなど複数のプラットフォームを横断して収入を得ていますが、従来の信用スコアにはこれらを統合して評価する適切な仕組みがありません。このギャップは深刻な財務的負荷となって顕在化しています。
フリーランスの73%が「不定期な収入が原因で従来のローンを利用できない」と回答しており、不規則な収入を持つ申請者の約半数が大手銀行から審査で即座に落とされてしまいます。
標準的な信用取引から締め出された結果、61%が審査なしまたは緩い審査で借りられるローン(この盲点をターゲットにした高利貸し、短期信用)に頼らざるを得ない状況です。収入自体は確実に存在しているにもかかわらず、既存の審査モデルがそれに対応できていないのが実態です。

このセグメントを選んだ理由

融資(レンディング)は、iOSとAndroidの双方においてフィンテックアプリ市場で最も大きく安定した領域の1つです。そして、フリーランス向け融資審査(アンダーライティング)は、その市場の中で長年見過ごされてきた課題領域となっています。つまり、単一のW-2雇用主(従来型の会社員)を前提に構築されたスコアリングモデルによって排除されているものの、実際には証明可能で十分な収入を得ている借り手たちの存在です。
Rove(ローブ)はこの課題領域に特化して設計されました。カバーする範囲を広げるのではなく特定の借り手セグメントを深く突き詰めるアプローチを採りつつも、基盤となる審査エンジンとそれぞれのコンポーネントは、将来的な他領域への応用ができるように考慮されています。これにより、同様に従来の審査枠組みから漏れてしまっている他のセグメント(信用履歴の少ない移民の借り手や、ケアギバー/介護従事者など)へも同一のロジックを展開することが可能です。

ユーザーリサーチとペルソナ

プロジェクトのすべてのジャーニーマップと画面デザインは、3つのペルソナを軸に構築されています。融資を申し込む借り手(ボロワー)、判断の難しい案件を審査するアンダーライター(融資審査担当者)、そして自社プラットフォームに向けてRoveを導入・展開するパートナー管理者の3者です。

Jasmine — 借り手

ライドシェアを運転し、かつ配達をしながら、副業で請求書ベースのフリーランスをしています。収入は週ごとに変動しますが、長い期間で見ると安定しています。以前、給与明細1枚でしか判断しない金融機関に拒否された経験があり、フリーランスを狙った高い利子の短期ローンを敬遠しています。

Mia — 融資審査担当者

Roveが融資審査のためにフラグを立てた申請のキューを審査します。従来の融資審査に則った経験しかなく、複合的なマルチプラットフォーム収入の融資判断をするには、まだ経験不足なため、数字だけでなく借り手の収入の情報を包括的に知る必要があります。

Darnell — レンダー / パートナー管理者

フリーランスプラットフォームのレンダーでプロダクトおよびオペレーションのリーダーを務め、この融資ラインをゼロからスタートする創業者としてではなく、すでに確立された会社内の新しい部門として立ち上げています。借り手向けのブランド体験を設定し、ポートフォリオの健全性を確保する役割です。

アプローチ

貸し手ではなく、借り手の立場に立ったアドバイスを提示します。審査(アンダーライティング)のロジックは、連携されたすべての収入源から収益データを抽出し、それぞれの月の収益だけに左右されないように長期的な記録をベースに算出します。
このデータは不透明な数字だけの情報として処理されるのではなく、収入源ごとに透明性をもって明示されます。単なる平均値ではなく過去の変動率から算出される「安定性スコア」により、複数のプラットフォームで安定して稼いでいるユーザーと、真に収入の波が大きいユーザーとを明確に区別します。
また、この統合データに基づいて「融資可能額の範囲」がその理由と共に提示されます。

Jasmine(借り手)が希望額を調整する際にはリアルタイムで指標が連動するため、推測に頼ることなく、予測される審査結果を把握した上で自ら金額を選択できます。

Roveのデザインデシジョンのハイライトは、収益化モデル(マネタイズ)にあります。Roveは「都度ばらいごとの定額手数料」と「サブスクリプション」の2つの選択肢を提供し、審査(アンダーライティング)の段階で算出された「収入の安定性データ」を再利用して最適なプランを推奨します。その際、推奨ロジックは貸し手(融資元)の収益ではなく、借り手(ボロワー)にとっての想定コストが最安となるように最適化されています。

承認、要確認、却下のすべての決定において、専門用語を使わないわかりやすい理由が提示されます。却下された場合でも、単なる一方的な却下の通知ではなく、実際の合算収入額と基準に届かなかった具体的な理由に加えて、「どうすれば状況を改善できるか」という具体的なアドバイス一覧が示されます。

審査担当者の申請リスト

Miaのツールは、既存の審査ツールでは4つの別々の画面になるものを1つのスクロール可能な申請詳細画面に統合しています。 
申請詳細画面では、審査の判断の理由と具体的にフラグされたデータポイントが表示され、ベンチマーク(「±22% vs. 典型的な±10–15%」)と並べて表示されるので、経験が浅い審査担当者でも判断に迷いません。
「追加情報をリクエスト」を選択すれば自動的に申請を保留とし、審査のための追加情報をリクエストするステップに進みます。

レンダーの管理パネル

Darnell(レンダー / パートナー管理者)が、このツールを通じて設定するのは、借り手向けの設定ウィザード(ロゴ、ブランドカラー、ドメイン、重要事項開示など)です。これらはカラーサンプルから推測するのではなく、Jasmineのような(借り手)が実際に目にする画面のライブプレビューで確認しながら設定できます。公開前の確認ステップには、「アンダーライター(審査担当者)が未割り当て」といった確認ダイアログが意図的に含まれており、形だけのチェックではなく実際の設定漏れを公開前にレンダーに知らせます。公開後は、ポートフォリオダッシュボードによって融資実行額、承認率、却下理由の傾向を一目で把握でき、各指標をクリックしてMia(審査担当者)のキューにあるような個別の申請データへ直接アクセスすることが可能です。

インパクト

Roveはケーススタディであり、実際のプロダクトではありませんので、そのインパクトは使用指標ではなく、デザインデシジョンのポイントをリストしたものです。

1

信頼は、失われがちな場所でこそ築かれる。

「収入の合計」と「審査結果の説明」スクリーンのデザインに最も多くの時間を費やしました。カスタマージャーニーマップにより、フリーランサーがシステムを信頼するかしないかの分かれ目がまさにこの2つのステップであることが明確になったためです。

2

借り手を視点で考えた、マネタイゼーション。

マネタイズロジックは、レンダーの収益ではなく借り手の最低コストに最適化されるよう意図的にデザインされています。 ユーザー視点でプロダクトをデザインすることでユーザーのリテンションを高め、結果的にLTVを高めます。

3

三者それぞれに簡潔な判断理由の表示。

「合算収入」および「収入安定性」の審査基準が、3者それぞれに最適化された形で表示されます。借り手には分かりやすい内訳として、アンダーライター(審査担当者)には判断根拠とベンチマーク情報として、そして金融機関(貸し手)には集約されたポートフォリオの動向トレンドとして提供されます。

デザインスキル

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